最近よく耳にする「サスティナブル」という言葉には、「持続可能な」という意味があります。
格安で販売できるからと、すぐ駄目になるような物を作ったり、違法と知りながら耐震強度を偽ってビルや家を建築したり、消費期限や産地を偽った食品が売られていたり...。本当のモノの価値を追求するのではなく、まず売上ありきで進められる議論がまかり通っている今の世の中にあって、その様な無意味なこととは対極に位置しているのが、このサスティナブルという考え方。
この哲学に則った、まるで伝統工芸を新たに復活させる様なサスティナブルな商品開発、観光産業を開始するための地域経済自立の為の支援活動を断続的に行っていく、というNewプロジェクトが、ツリーハウス制作者でサーファーでもある小林 崇を筆頭に動きだしました。
彼は、RACI(Reef Artisan Collaborative Inc. は、海洋保全地域の継続可能な経済自立をめざす活動団体)のアートディレクターを務めるMichael Lawrenceとタッグを組み、インドネシアの北、スラウェシ州の州都であるマナド沖に位置するブナケン島でこのプロジェクトを立ち上げました。
珊瑚礁の保護地域としても知られるブナケン島では、環境保護の観点からも、島民が主体的に行う「持続可能な経済的自立」を目指しています。そのサポート団体であり、彼が設立した NPO法人 ジャパン・ツリーハウス・ネットワークの活動の主なものとしては、島に昔から伝わる工芸品の商品化や、観光客を増やして外貨を稼ぐのに大きな役割を担うガイドの育成など、その地域に根ざしたものが主体となっています。これはまさに、日本で言うところの「村おこし、町おこし」と似ています。
が、しかし、観光産業をするという事は、ブナケン島にツリーハウスや、珊瑚を見に、他国の人々が押し寄せ、また島を荒らして行ってしまうのではないかという心配もあります。まさに、現在の屋久島のように、荒れ果て立ち入り禁止の箇所が増えてくると言う減少もあることで、いい事ばかりが起らないのは事実であり、しかしこのような事を撲滅させるのが、このプロジェクトの醍醐味なのかな?と脳裏を過る。
そして島最大の目玉が、彼が制作したツリーハウス。事務所兼工芸品の販売所としても活躍していくアートセンターは、写真にもある様にまるで秘密基地です。子供はもちろんですが、大人もワクワクしながら少年の頃の冒険心を思い出すにはもってこいの場所となっている様です。
地域やコミュニティーを通じて人の心を豊かにし、遊び心や冒険心を取り戻してくれるこのツリーハウスと共に成長していくブナケン島の子供達。自然に囲まれているだけでも心が豊かになり、誰から教えられるでも無く自然に物を作る楽しさや、物を大事にする気持ちが養われることで、自分を取巻く環境(自然)や他者へのいたわりを身に付けていくのでしょう。
そんな幸せの連鎖を生み出すため、そしてなにより彼は、ブナケン島を特別な島として思い入れがあり、このプロジェクトを立ち上げた。
そして現地に行き、「島の人が優しくて、笑顔で心温まる感じがし、自然も海も美しく残っていて、この場所をそのまま残して行きたい、自然環境だけじゃなく、島の人々の生活や文化も、子供達の笑顔も...」と語っている。
島民達自身が自立出来る環境を一緒に作り上げて行く、というサスティナブルな行動が受け継がれていくことは、人々が安心して生活し、いつも笑顔でいられることと直結しているのだ思います。そしていつまでも自由な発想で暮らせて行けることでしょう。
何よりも、このツリーハウスという大自然の贈り物の偉大さは、想像以上に計り知れないパワーを持っているのだと確信します。
参考資料 my lohas
小林 崇(コバヤシ タカシ)
1957年静岡県生まれ。
スタイルとデザイン、感性をコンセプトにしたツリーハウスを創作する、日本のツリー ハウス第一人者。
'94年、ツリーハウス建築の世界的権威ピーター・ネルソンと運命的な出会いをし、毎年 オレゴンで開催されるツリーハウスの国際イベントに日本から唯一参加している。2000年JTN(ジャパン・ツリーハウス・ネットワーク)を設立し、ツリーハウスの普及やパブリシティに力を注ぐ。2006年秋より、ネスカフェゴールドブレンド38代目「違いを楽 しむ人」として「ツリーハウス・クリエーター 小林崇」が起用される。またツリー ハウスの情報やグッズ、飲食が楽しめるツリーハウス・コンセプト・サロン 「HIDEAWAY(原宿)」が06年11月にリニューアル・オープン。
text by NOKU