先日、アフリカ東部のウガンダ の首都カンパラ で同性愛者の人権保護を訴えていた活動家、デービッド・カト氏が首都カンパラ近郊の自宅で何者かにより撲殺された。
同氏の弁護士が明らかにした。
この事件に関して、オバマ米大統領はカト氏の死を悼み、「公正と自由を強く訴えた人物だった」とする追悼の談話を発表。ウガンダなどの政府に対し、事件を徹底捜査して犯人を検挙してほしいと呼び掛けた。
この事件は殺人という罪のみだけではなく、かなり波紋を呼ぶ事件。 ウガンダやアフリカ諸国が国際社会に平等につきあう為に、国民、国家が体質や人間の在り方等を考えなければならない事件となるのではなかろうか?
日本ではあまり知られていない事実なのだが、アフリカでは大半の国が同性愛を禁止しており、ウガンダでは違反した場合、禁錮14年の刑が定められているという。
しかも、デービッド・カト氏が殺害されるきっかけとなったといわれている ウガンダの大衆紙「ローリングストーン」に、国内の同性愛者10人を名指しし、市民に警察への通報を呼び掛ける記事が掲載された。
同紙は先月、同性愛者100人の写真入りリストを掲載して人権団体などから非難を浴びており、記事には10人の住所や体格の詳細などが明記されており、同国では前回のリスト掲載後、民衆をあおり、名指しされた同性愛者少なくとも4人が襲撃を受けている。
まさに中世のヨーロッパにおける魔女狩りのような光景である。
そもそもウガンダでは以前から同性愛が刑事罰の対象とされているが、この事件が起こるきっかけとなったのが 「HIV陽性であるゲイ男性が同性と性行為を持った場合に、死刑を科すことを可能にする法案」が提出されたことで、いわゆる、この「反ゲイ法案」は、同性間の一切の性的関係を健康な、あるいは容認可能な生き方として奨励したり、承認したりすることやまた同性愛を奨励ないし、教唆するような題材の公表も禁じている。それゆえに、性的志向ないしジェンダー・アイデンティティの問題に取り組む、市民社会の活動家や人権活動家も影響を被り、今回のような悲惨な殺人事件や、襲撃事件が起こっている。しかも、この法案内容は同法を犯していると知りながら24時間以内に同僚や家族等に報告しない場合にも、最高6ヶ月の禁固刑が科されるほか、同法は外国に住んでいるウガンダ人にも適用されるという。
先進国からすれば個人の性的志向、ジェンダーの問題、さらには人権保証問題においての基本的考え方に到底、容認できるものではなく、時代錯誤も甚だしく国際基準観点から見ても全くもって理解しがたく、ウガンダのある国会議員が答えたインタビューではこの法案は99%の確率で成立する見通しであるという
この法案の背後には ウガンダにおけるHIVの問題が大きく影響している。1997年以降から下降の方向をたどってはいるのであるが、ウガンダでは未だかなり高いHIV感染率を示す、特に15歳から19歳の少女たちの感染は同じ年齢の少年より、6倍もHIVに感染しやすいことがわかっている。これは貧困から来るSUGAR DADDY症候群がこうした状況の原因であったり、性教育の遅れの問題や、HIVの正しい情報の問題があると言います。
国際エイズ学会を含めた国内外のエイズ関係団体は、「基本的な人権侵害に加え、同性愛を違法化することは、同性愛者を法的拘束力によって社会から排除するものであり、同性愛者は結果的にHIV検査や治療にアクセスできなくなる」と主張しています。
「世界人権宣言が採択されてから60年以上経ち、多くの国際法や国際基準がこの種の差別を明確に禁じている時代に、この法案を提出することは異常事態である。この法案は全ウガンダ人の基本的人権を著しく侵害するものだ。」国連人権高等弁務官ナヴィ・ピライ氏 の言葉が重く響く。
BY KESO