人間の生活環境を遡ると常に自然環境のもとで生活していました、現代といったら都心部では人工的な環境で生活環境が昔とは比べ物にならないくらい、人々に多大なストレスを蓄えています。森林セラピーはこのような環境からのストレスを解放するという点からも大きな効果を持っており、人々の心を癒してくれると言われています。
木々の中に立っていると、何もしなくともそれだけで心癒されますが、さらに効果的に森林パワーを感じるためのキーワードがあります。それは人間に備わっている5つの感覚「五感」です。人間の体には視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚と呼ばれる感覚があります。これらを意識して個人の価値観に応じた森林セラピーを楽しむことによって、森の力をより明確に実感できます。
そして森林浴が体や心に心地よく、心身共にリラックス出来る状況、そのリラックス出来る存在というのは「フィトンチッド」という樹木から物質が発散している事を意味します。その物質は針葉樹林のマツやヒノキから沢山発散されており、免疫力の向上などに寄与するという論文が発表されています。科学的根拠が示されるようなり、この「フィトンチッド」という物質の研究は現在でも進められています。
近年では森林浴がもたらす生体反応を、唾液中のストレスホルモンや心拍変動、血中の抗がんタンパク質の変化などで読み取り、森の効果を解明していく事が可能になってきています。
森林の環境が免疫機能の向上に特異性を持つ事が実証され、森林浴での健康増進が持続効果を持つことが明らかになり、医療行為に至までには圧倒的に不足しておりますが、将来的にはがん予防、健康増進などへの活用法などが研究されている所だそうです。
そういった森林セラピーのモデルというのは、ドイツ発祥の「クナイプ療法」という自然治療のことを示しております。
ドイツを始めとする欧米諸国では、古くから水や植物による自然療法が盛んに行われておりますが、「森林セラピー」はその一つの要素として位置づけられています。
欧米では既に森林浴といった自然療法はポピュラーであり、フランスでは「トロンセの森」スイスでは「ピタパルコース」こちらは健康増進のためエクササイズコースがあります。イギリスでは心臓病予防のための「健康トレイル」という行政からの支援によって成り立っている森林セラピーのコースが設備されており、医療的考えをもとにして森林セラピーという新しい療法が取り組まれ、そういった自然療法出来る場所が沢山設置されているのです。
こういった取り組みにも歴史がありまして、昔々150年前のドイツでは、カトリック神父(の学生)だったカプラン・セバスチャン・クナイプは、ある五井地方で、自分で考えた妙な療法を地元の人々に施術していました。彼自身が患った結核を治すために考案し、治療に成功した方法である。しかし、クナイプは、現地の医師、薬剤師、そしてカトリックの信者たちから「似非医者」を行っていると訴えられ、教会本部は幾度も注意したが止めないため、彼をバート・ヴェリィスホーフェン村の修道院へ移動させられた。そこでは、農業を研究するように命じられたのだが、彼はそこでも民間療法を実施しました。その中身は想像を超えるような治療法で実施されていました。それは結核やコレラという伝染病を、冷水を体に浴びせる治療法でした。小川の冷水に足や手をつけさせたり、冷水で痺れてくると外に出て、温水を浴び、またさらに冷水をかけるという、、、それはすべて症状に合わせた処方であったのです。ちなみに真冬のドナウ川に飛び込ませたり、体が動かなくなった老人に薪割りをさせたり、農地を耕すよう命じる事もあったそうな。修道院では薬草を栽培させ、ハーブティーを作って飲ませる事も行っていた。(ちなみに西洋の医学ではハーブやアロマによる治療法なども見受けられます)この「クナイプ療法」とは、水と薬草、そして運動を組み合わせた代替治療法でありました。
こんな体に反する治療法を産み出した切っ掛けは、神学校で読んだ神学書の一文「新鮮な水の治療力」を信じた信仰の実践だったらしい。
ただ、クナイプ療法の患者というのは、医師にかかれない貧しい人々や、不治の病の患者だった事が、今の民間療法とひと味違う。そして、一人一人に対して、それぞれの症状に合わせて異なる処方を指示して治療に成功したらしい。
結果、クナイプは有名に、今ではドイツではクナイプ療法は認められ、そして科学的な研究も行われているので、現代のクナイプ療法では無理は禁物ということになっています。
こういった治療を、自然で治す、自然の偉大さ、人間の我慢強さ、人間の賢さ、心の強さ、生きる力、信仰心、それぞれがリンクしなければ全ては無駄に終わった事であり、どれだけ自然というのは偉大な存在なのかが伝わり、これからも自然という存在をしっかりとたより、持ちつ持たれつという関係でありたいと思いました。
参考資料
「森林浴はなぜ体にいいのか 」
text by noku