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  • Posted on
    2009.12.22
  • posted by kenshin.

ボリビア リチウム戦争〜塩源に眠る資源の行方〜








以前にもTHE MAGAZINE  ボリビア水戦争~公共事業は誰のものか~というSOCIAL記事で取り上げたのですが、ボリビアがまたすこしきな臭い戦争に巻き込まれています。


ボリビアは南米でも最も開発の遅れた国であり豊富な天然資源(近年では大ガス田も発見されています)を持つが資本主義的には貧しい国であり「黄金の玉座に座る乞食」と形容され、素晴らしい自然が広がりチチカカ湖やウユニ塩原などがありアンデスの恩恵を受ける国でこの豊富な天然資源を持ちながら、建国以来政治的に不安定なため天然資源の開発の遅れやクーデターが起こりやすい政治文化のバックグラウンドに世界のグローバル企業からの利権をつけいられたりしやすいということは以前にもお伝えしたとおもいます。

そのボリビアの豊富な自然のなかにあるウユニ塩原が今おこっている戦争の舞台なのです。

ウユニ塩源はボリビアのポーポ湖の南にある。広さが四国の半分というから1万平方km以上ある世界最大の塩原でその美しさである絶景感は奇跡といわれており、大いなる神からの贈り物とさえいわれている。
そのウユニ塩源の地下には現代社会に必需品であるパソコンや携帯電話に加え、電気自動車などの充電式電池の材料として、需要が急増している「リチウム」が眠っている。
その「リチウム」の埋蔵量は世界にリチウム埋蔵量の約半分がこのウユニ塩源に眠っているといわれており、まさしく神からの贈り物なのである。
このリチウムとはそもそも何かと言うと「産業のビタミン」ともいわれており 希少金属の一種で主にパソコンや携帯電話に加え、電気自動車などの充電式電池の材料として使用され、リチウムイオン電池は軽いうえ、大量のエネルギーを取り出せるのが特徴でハイブリッド車や電気自動車にも利用が広がっており、これからの産業にはなくてはならないレアメタルといわれている。
特に自動車産業、電気機器産業を主としている日本などはこのリチウムが産業を支える上で必要となってきています。

このウユニ塩源の地下に眠るリチウムの採掘権を巡って現在、日本、韓国、フランス、中国、ロシアなどが獲得競争に向け利権争いが勃発しています。

ボリビアには「かつて、銀を宗主国スペインに搾取された」との思いや、水戦争などでも国民に苦痛をしいてしまった経験もあり、ボリビア側は技術協力や資金援助には理解を示すものの、「開発はあくまで自国のみで」と共同開発には消極的です。
折しもボリビアの現職大統領のモラレス大統領はボリビア市場初めての先住民出身の大統領であり、政治姿勢は強硬な反米主義で、また新自由経済、グローバリズム対して徹底的な対決姿勢で知られていて モラレス政権は、資源収入のボリビア国民へのより多くの還元を強く主張し、資源ナショナリズム色の強い政策を展開しています。
特にこのリチウム戦争主要参加国である日本側から目線ではCO2削減を掲げた社会の実現に向けては直面する課題として、リチウムをはじめとした新たな資源獲得戦争が世界各地で繰り広げられることを意味するものでしょう。 日本においては技術開発力は世界屈指のものであっても、それに利用するレアメタルなどの資源がなければ製品の価格競争に参加することは難しいと考えられていて、素材あっての料理というとこなのでしょうか。
ボリビア水戦争~公共事業は誰のものか~のときにも同じことを書いたのですが、このような20世紀後半型のグローバリゼーション化と伴う公共事業、利権を求めて介入する資本主義の企業など問題は複雑化、混乱化し常に犠牲になるのは市民や弱者等です。
このような急なグローバルゼーションに伴う途上国の市民の生活ギャップはなかなか埋まりそうに有りません。もちろん成功している事例もあります。しかしながら彼らの今まで培ってきたすばらしい文化や歴史、生活スタイルを欧米型の幸福にはめ込んで考え、資本社会の幸福感を一方的に押し付けるのはもう新しい世紀には通用しない事の様に思えてなりません、もっとフィットするやり方が有るのではと感じてしまいます
たとえ欧米からみて、貧乏といわれようがそこには暖かい家庭を築きあげていて、日本の様に電気製品や車を乗り回し、飽食を楽しみながらも年間3万人も自殺者を出すような国ではないのですから。
このすばらしいウユニ塩原の景色の奥底に眠る「リチウム」は誰のものなのでしょうか?






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TEXT BY KESO

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