「衣 食 住」とは 人が生活をしていく上で必要な 衣(服装、ファション) 食(食べ物、食文化) 住(住居、居住)、それらをどのように組合わせて自らの暮らし向き、ライフスタイルを維持しているか、ということを指していうものである。
私たちが、毎日身につける「衣」について特に原料として現代社会に欠かせない、コットンについて、現在起こりうる社会問題にについてかんがえてみました。
綿花は発展途上国や新興工業諸国の経済において主要な役割を担っており、何百万もの小規模農家にとっての重要な所得源であり、貴重な外貨獲得源であると同時に常に繊維産業の中心であり、世界の織物産品需要の約半分を占めているのです。
綿は敏感な肌を刺激することもなく、アレルギーを引き起こすこともないので多くの種類の衣服の原料として使われています。
また、油分は調理油、マーガリン、せっけん、化粧品、医薬品、ゴム、プラスティックに使われ、綿の植物性の油粕はたんぱく質が豊富なため家畜の飼料として使われており、綿毛は種子にくっついている短い毛で包帯、綿棒、自動車用クッション材、レントゲン写真、飼料、エタノール、敷き藁に使用されているのです。
私たちの暮らしは、服のみならず、タオルや寝具などを含めて、コットン(綿製品)ぬきには考えられないといっても過言ではないでしょう。
しかし生活者・消費者からはその現場が遠く、流通や生産も多段階なため、その実態が見えにくくなってしまっているのも事実。
その生産の段階で今何が起こっているのかというと綿花農場の現場では無視できない大きな3つの問題がのしかかっています。
今回は特に問題視されるインドの綿農場にスポットをあててみました。
インドは世界第三位の綿花の生産地であり国の大きな貿易収入源となっておりそのコットンベルトと呼ばれる綿花栽培地帯での問題点とは
1、綿花農場で働く子供達の虐待、人権侵害
2、農薬による人体障害
3、綿花農家の自殺数の増加
である。
今回 綿花農場で働く子供達の虐待、人権侵害にスポットをあてて調べてみると、いろいろなことが見えてきました。
綿花を栽培するにあたり綿花農場の経営者達は利益を出す為に病気に強いハイブリット種の綿花を使用しているのがほとんどで、これは農薬にかかる費用を抑える為でもあります。
インドでは綿Tシャツ1枚分の綿花、約200グラムに対して、約150グラムの農薬と化学肥料が使われるといわれています、この農薬にかかる費用を抑えようと病気に強いハイブリッド種を使うのです。
しかしこのハイブリッド種と言うものはかなり手間や労働力がいる品種であるのです。
ハイブリッド綿の生産工程は、人間が日の出までの花のつぼみが開花しかける時におしべを取り除き、そして異種のおしべを交配させる植物の一代雑種強勢を利用して作られ、遺伝子の良い所だけが現れて高品質の種を作ります。
いわゆる人手による人工授粉を行うのです。その行程は別々の畑でおしべに使う綿とめしべに使う綿を別々に栽培し、それぞれが成長し花のつぼみが大きくなり、日の出までの花のつぼみが開花しかける直前に、めしべ畑のおしべを一本一本人の手で取り除き、自家受精させないようにしておしべ畑でできたおしべを人工交配させます。
この行程は気が遠くなるような繊細な作業が求められます。
このハイブリッド綿種を作るのに親の農業の債務のために児童労働を強いられるケースが多く(いわゆる子供の身売り)インド全体で約40万人の児童が綿花栽培に従事、その54%が14歳未満、7~8割が女子なのです。
綿は背丈が低く、かがんでの作業と30℃を超える炎天下の中、日没迄、繊細な受粉作業のために実際、大人の大きな手ではなかなか扱いにくいのもあり、かなり肉体的負担が大きく、大人がなかなか従事したがらない労働ではあり、人件費的にも児童を使う方が55%も押さえられるのです。
この子供達、賃金的にはいくら貰えるかと言うと一日あたり約18ルピー(40米セント)というとんでもない低賃金で酷暑の中12時間働かされるのです。
綿生産者は通常子どもを長期契約条件に基づいて雇用し、あらかじめ両親に前払いや貸付を行っています。
調査によれば子供一人当たり親に支払われる額は3000円前後とほとんど奴隷と変わらない状態で親の債務を返済しているケースが多く労働時間等は曖昧な契約が多いとの事です。
このような過酷な労働条件下での子供からの虐待とも言える詐取だけではなく、年端も行かない子供達が農場で働く大人達に性的虐待を受けているケースもかなり多く報告されています。
インドの法律では、農作業においては14歳未満の児童でも、ある一定の条件を満たせば就労が認められている為、雇用者が法律に違反した場合は、罰金や
禁固刑に課されるが、監督官庁による厳しい取り締まりは行われていないと言うのが現状であり、根本的解決にはならないと言うのが現状の様です。
この問題には黙って見ているのかと言うとそうでもなく、NGO団体やユニセフ等は独自の調査、監視を行い、マスコミを使いこのような行為を痛烈に批判、また消費者や企業にこのような事が行われていると、知ってもらうと言う広報活動を行っています。
それにより消費者側もフェアートレード(貧困にあえぐ貧しい国の生産者に充当な賃金で仕事を提供し、そのように生産された産物を販売したりする流通の運動です。)のラベルのものを購入したりと徐々にですがその活動は身を結んでいます。
この事実を知ったとき、着ている服が悲惨な労働下のもとで作られている材料を使っているかもしれないと考えると、実際、シーズンごとに洋服を買い替えると言う行為に躊躇してしまいます。
実際、この現代社会で複雑で見えなくなっている生産過程や原材料の作られる段階等、身につけるものや食べ物など、消費者がまず「知る」と言う行為は必要なのではないかと感じざる得ません。
実際に調べてみるとこういう児童虐待のもとに生産されたものは使わない、契約しないと言う企業も多々あり一概に全てのものが詐取している行程は踏んでいないのも確かです。なおさら「知る」事の大切さを感じます。
参考資料元
NGO 団体 ACE
国際労働機関 ILO
人権団体 AMUNESTY INTERNATIONAL
ユニセフ
TEXT BY KESO