世界では低迷する経済状況の影響もあるのだろうか、特に日本はエコやロハスへ意識が高まっている現在、買うだけで社会貢献できる「コーズブランド」への消費者のニーズも増加しています。
しかし一方で、「どのブランドが社会貢献を行なっているのか知らない」「商品を購入するとどのような貢献ができるのかわからない」「 エコ以外はよく分からない」といった戸惑いの声があるのも事実です。
コーズブランド(Causebrand)とは売上の一部が寄付されるなどして、自然保護や社会の課題解決に貢献できる商品の総称です。
コーズブランドの名付け親は、「コーン社」というアメリカのコンサルティング会社。商品やサービスの売上の一部を慈善団体などに寄付するマーケティング手法を、コーズ・リレイテッド・マーケティングとよばれます。その仕組みとしては、「コーズ・リレイテッド・マーケティング(CRM)」とは、企業の社会問題や環境問題などへの積極的な取り組み をアピールすることで、消費者の興味を喚起し、利益の獲得を目指すマーケティング手法。顧客が製品やサービス を購買した際の支払い金額の一部を、寄付行為を通じて社会に貢献するマーケティング活動です。
コーズブランドとして1983年にアメリカン・エキスプレス社が行った、「自由の女神修復キャンペーン」が最初の事例だと言われています。 カード加入で1ドル、カード利用1回で1セントを自由の女神の修復工事に寄付するというもので、この時アメリ カン・エキスプレス社は、前年同期間のカード使用率が28%増、新カード発行枚数で45%増、修繕のための寄付が 170万ドル集まったと発表しています。
他にも「1ℓ for 10ℓ」これはコンビニ、スーパーなどで売られている水「ボルヴィック」のキャッチコピーなどは一般的にも有名でしょう。日本で1ℓの水を買ったら、アフリカで10ℓの水の創出の支援ができるなど、サスティナブル(持続可能)な社会を実現するために、私たちができることは、がんばりすぎない社会貢献、それこそがコーズブランドが生まれた最大の理由。
ほんの少し、意識をしてわたしたちの身の回りの製品やサービスの中にたくさんの"コーズブランド"があります。
日本大手企業の中で目につくのは 「あなたのうまいが明日の日本を作る!」という力強いCMで記憶に新しいアサヒスーパードライの「うまいを明日へプロジェクト」。3月下旬から4月下旬にかけて製造したスーパードライ1本につき1円、トータルで2億1979万円が各都道府県に寄付され、自然や環境保全、文化財の保護などに使われるというキャンペーンでした。
すでに同様のキャンペーンは秋にも行われる予定もあったり支援の内容は、各都道府県ごとに、サイトに詳しく紹介されています。ガイドの出身地、茨城県なら県内の売上金は、「茨城県森林湖沼環境基金」に寄付されます。霞ヶ浦の水質浄化や県内の小中学生が参加する霞ヶ浦湖上体験スクールなど、茨城県の環境保全活動に役立ててくれるなどの動きもある。
これには昨今、近代を生き抜く企業の狙いもまさしくイメージアップと、他社との差別化です。
エコがマーケティングの重要なキーワードになっているように、社会貢献も企業の大切なブランドになりつつあると言えます。
また、その流れはファッションブランドにも普及しつつあり、ピープルツリーを筆頭にここ数年ではマザーアースの様にニュージェネレーションが手掛ける途上国発信のバングラッデイッシュバックなど、すばらしいフィロソフィーと行動が多くのメデイアにも取り上げられ若年層にも浸透しつつある。
また、コーズブランドを詳しく説明している著書も昨今では話題になり、今後ますます広がりがあろうとされる新たな、買い物の形である。
只、新たな動きの中には必ずしも良い事だけでは終わらないものも存在する。
コーズブランドという言葉は知らなくても、買うことで寄付や社会貢献につながる商品を買った経験のある人も少なくはないでしょうが、特に最近は、スーパードライのように日常的に使うものに社会貢献につながるしくみが加えられていますので、より身近に手に取りやすくなっている。
ある調査ではおよそ50%の人が買ったことが「ある」と答えました。日常の買い物にコーズブランドが浸透していることを裏付ける数字です。しかし、同じ調査では54%の人が「本当に社会貢献につながっているかどうかわからない」とも答えています。
このような事例が現状のコーズブランドの問題点でもあると言われています。
目で見えずらい事は、"わからないこと" もっと言えば、知らなかった事で終わってしまう。
これは、おれおれ詐欺にも通じる事であり、目先の情報だけで判断したり、日本特有な平和ボケした感覚の麻痺が判断を鈍らせ、自ら判断し選んだものに対して自己責任の認識が薄く、買った事だけに安心と満足をしそれを繰り返している。
消費するだけで終わらせているのは、想像力の退化ともとれるだろう。
本当に、持続性のある社会を目指すのであれば、コーズブランドでなくとも、フラットな目線で目先のものだけでなく、その奥にある事まで考え、行動する事が必ず必須な事と言える。
今後さらに、増えるであろうコーズブランドの数々と上手につきあうには、消費者である私たちの"目"を耕すこと。具体的にはイメージや言葉の美しさだけに踊らされないように、企業や寄付をしているという団体の報告をきちんとチェックするといった行動も大切になってきます。
これには情報がフラット化する事で起こりうる現実であり、現代が抱える、目に見えない無意識の後退へも結びつくのだろう。
利害もひっくるめて、すべては人が人の為に何かを生み出し、人が自らの意思で自然淘汰し起こりベく事には今も昔も変わらず繰り返されるのだから。。
やはり本当に必要なもの、不必要なものを自らの五感と行動で判断していく事が現代には必要不可欠なのであろう。
text by H