いよいよ経済悪化の末端の波が一般にも肌で感じ目で見えるぐらい、あらゆるマスメデイアにおいて連日の様に発信され
まるで,当たり前かの様に無意識の内に脳裏に刻み込まれている。
ファッション、アート等いわゆる第3次産業ビジネスのあまりにも急速な衰退が物語る様に、、
常に真実を追い求める事だけが全てでなく,貫く姿勢により必ず矛盾が生まれる。
只,物事をほんの少し斜めに見ると,それは矛盾でなくなる時もある。
混沌とした世の中であるほど、実はとてもクリアーに真実と矛盾を見極められるかもしれない。
ほんの些細な事に目を向けるだけで,以外と何かを気ずかせてくれるものが日常に溢れている。
そんな中ステイーブン ギルは公共の場における"人"と"その行動"を、ユニークな視点で切りとった作品を展開している。街なかでイヤフォンをつけて音楽を聴いている人々を被写体とした「Audio Portraits」、道に迷った人々にカメラを向けた「Lost」。また、「Invisible」では、道路や鉄道工事などの作業員を撮影。彼らの蛍光色の作業服は目立つためのものだが、その姿は日常的な都市風景の一部となっており、逆に目を向ける人はほとんどいないという矛盾に着眼した。
ギルは、温かいユーモアに満ちた視線で、公共の場において人々が垣間見せるプライベートな表情、無意識に行なってしまう何気ない動作にひそむ個性を的確にとらえる。小さな好奇心から生み出されるコンセプトと時代や社会を鋭く読み取るセンスに、ドキュメンタリー写真の魅力を融合しながら、ギルは新たな表現分野を切り拓いている。
こんな時代だからこそ、今ある現実と,その先にある何かを想像しながら
新たなものを生み出すだけでなく、現在、過去、未来を行き来しながらほんのわずかな隙間を見つけてみるのもこの先を生き抜くヒントかもしれない。
時代が生み出す様々なジェネレーションやエクスペリエンスは低迷している時ほど生まれて行くのだろう。
1971年イギリス・ブリストル生まれ、ロンドン在住。
幼い頃に、父親を通じて写真と出会ったギルは、独学で写真を撮り始める。学生時代には、地元の写真スタジオで、家族写真の撮影や古い写真の修復などを手伝う。その後、ブリストルのフィルトン・カレッジのファウンデーション(基礎)コースで写真を学び、ロンドンのマグナム・フォトを経て、写真家として独立した。
reference
http://www.stephengill.co.uk/
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text by HM