若干23歳の若さですでにいくつかのコレクションを創造するRichard Soderbergによって2008年自らのブランド『Obscur』を設立し、スウェーデンのストックホルムにて鮮烈なデビューを果たした。これまでにパリ、東京でコレクションを発表し、設立からわずか2年にして既に世界10カ国のショップで販売されるなどその注目度の高さが窺われる。
Obscureとは明確でないもの、理解されないもの、また定義する事が困難なものを表すという英語の単語を古いフランス語のスペルであるObscurに変換し命名。『ガーメントは着用された時こそ真の価値が認識される』という明確な信念からすべては創りだされているのです。
彼の造り出す服は、精密なパターンとランダムなドレープ感のあるシルエットが特徴ですが、それは生と死に深い関心を抱き、自らの情熱の中にあるダークサイドな部分を注ぎ込まれているかのような、かなりダークな印象が強い。彼が育った故郷の暗く霧深いスウェーデンの風景が彼の表現の原点である事は間違いないだろう、しかし私がイメージするスウェーデンのファッションは清潔感がありクリーンなイメージなのですが、まったくの正反対で暗く、破壊てきな作品である、スウェーデンファッションに表と裏があるならまさに裏といった感じがする。
元々彼はファッションデザイナーになろうと思って始めたのではなく、むしろ華やかなファッション業界にはそれほど興味を持っていなかった。たまたま感情や雰囲気を造り出す表現方法の一つとして衣服があった。取り巻く環境すべてに直感的にまた本能的にインスピレーションされ彼の中で衝撃となり衣服に落とし込まれるのです。
10A/Wの彼の作品はまさ死をイメージさせる衝撃として圧倒的な存在感を示している。このコレクションはオーストリア出身のアーティストのGunter Brösの作品にかなりインスピレーションされている。Gunter Brös、彼の作品は目を伏せたくなる様な病的なまでに表現された不の世界。今回のコレクションは表現が悪いかもしれませんが死体安置所にある死体を持ち運んできたかのように感じる。ただ死というのは怖さもあるが反対に儚く美しさも感じてしまう、あらゆるしがらみから完全に解放されたありのままの状態、また生も同じであるかの様に彼の作品はダークさの中に全く逆の光をかいま見る。
まだまだ新鋭の彼が今後どうなるか、進化をとげ更なるダークな世界のに導いてくれるとともにObscurがどう展開していくかその未来がとても楽しみです。
text by GM