「獰猛な美しさ」と銘打たれたタイトル
先日からNY、メトロポリタン美術館で開催されているalexander-macqueen 展は改めてデザイナーの持つ凶暴な美しさと血の匂いを嗅がされた気分であった
今回の展示では彼のセントラル・セントマーチンズ大学在学時の卒業コレクションから生前最後の2010年2月のコレクションに至るまで、 彼自身がたずさわった19年間におけるおよそ100体の衣装と70のアクセサリーアイテムが展示され、 訪れる人たちを魅了している。
ネタ元というかリファレンスがありありとわかり過ぎるコレクションも中には多々有ったのが事実だが、評価すべき点はコマーシャル化に向かうファッションインダストリーの中でこのクオリティーで19世紀の極端なシルエットをコンテンポラリーに変換して、ロマンチックかつ危うい世界を築き上げ、見事にセールスと結びつけながらブランドの求心力を保つという恐ろしい離れ業を成し遂げ続けた事。
その世界はリファレンスを凌駕し、ねじ曲がり、きしむ音をあげながら獰猛な美しさをまき散らし立ちはだかる、その前には、なす術もなくただただ見とれてしまう感覚で、圧倒的であった。
去年自ら命を絶ち、その早すぎる死で世界中に衝撃が走ったアレキサンダー・マックイーン
「彼自身について知っていることはごくわずかしかないが、多大なる成功をもたらした作品のことは知っている。彼の作品はとても興味深く、決してありふれた陳腐なものでは無かった。死とは常に、多少なりとも魅力的なものであるし、彼のデザインには時々非人間的な面があった。何とも言えないが、あまりにも頻繁に死と戯れると、死に魅了されてしまうのかもしれない。」
というシャネルのデザイナーであるカール ラガーフェルドの言葉が思い出された
text by keso