アメリカンヴォーグの編集長でありプラダを着た悪魔のモデルとなったアナ•ウィンター。
彼女の妥協を許さない姿勢や仕事の態度、ファッション業界で最もパワーを持つ人物の一人である彼女。年に一度の大イベント・ファッション特大号を完成させるまでを背景を綴ったドキュメンタリー映画「SEPTEMBER ISSUE」
の公開もまじかに迫ってきており、このTHE MAGAZINEのFASHION&BEAUTYでも以前紹介したFASHION 界の大御所、イタリア人 デザイナー バレンティノ•ガラバーニを追ったドキュメンタリーフィルム、『Valentino:The Last Emperor』やファッション写真家のアニー・リーボヴィッツを追った映画『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』など今まで表側に出る事の無かったファションの裏側等に焦点を当てた作品が最近、次々と生み出されヒットしています。
このようなファッションの裏側に焦点を当てた、ファッションドキュメント作品のパイオニア的映画で80年代のパリを舞台に、ファッション産業に支えられたフランスと、ビッグデザイナーに群がるファッション中毒者たちを描いた1984年の作品 「MODE IN FRANCE」を今回は紹介。
監督はVOGUEのグラフィックデザイナーや写真家だったウィリアム・クライン
映画は「ラ・マルセイエーズ」にのって、一流デザイナーたちが登場、80年代のパリコレでの登場シーンが次々に流される。 ファッション写真家から映像作家そして再び写真家、という経歴を持つウィリアム・クラインが、写真家に復帰した80年代にファッション業界の裏側を写し取ったフィルム・ドキュメンタリー。
若かりしゴルチエやカール•ラガーフェルド、ケンゾー、モンタナなどの姿も見れます。何かとカルト的ムービーとしての扱いであった映画だけにあまり一般に評価される事が少なかったのですが、今、見直してみると、この映画は「ファッションとは何か」ということを繰り返し問いかけてくるもので、現在の様なシステム化、形容化されすぎたファッションとは明らかに違う独特で本来のファッションの持つ自由な空気のクリエーションやクリエーターのパワーが生き生きとしていた時代が描き出され、ファッションの持つ自由な想像力の横顔を捉えており、なぜ流行があるのか?服を着るとはどういうことか?ということを繰り返し繰り返し問いかけるファッションの本質に迫る映画です。
ウィリアム・クライン
1928年、ニューヨークに生まれる。 パリのソルボンヌ大学で文学を学び、その後パリに滞在しつつドイツのバウハウスにはかなり魅了されていく。 写真史上有名な「ニューヨーク」では、ブレ・ボケ・アレなど従来の写真のタブーとされていた方法を自由自在に利用し、日常のニューヨーク・シーンを表現。 1955年より、「VOGUE」でファッション写真の担当に。 自由なフレーミング、広角レンズの実験、マルチフラッシュなどで、アイデア優先、服は二の次という、アンチ・ファッション的な姿勢が、更に見る者を魅了させました。 正当でないものをイメージに取り込む発想は後にニュートンなどに影響を与えています。
TEXT BY KESO