ドイツのブランド『Marie-Louise Vogt』匠に色と編み物で自由自在に操るニット。
毛糸とという素材の限度を超えてしまうようなずば抜けたセンスとクオリティ。
彼女の作品を見ていると、いったい何の素材で、どんな手触りなんだろうと触れたくなる感覚に陥る。主にニットといえばだいたいが毛糸やシルクなどの素材が多い中、彼女が使う素材はコットンであったり毛糸だったりと自由に素材を選び、実にユーモアである。表現性が広がり、捕われないセンスの持ち主。
編み物の時代というものは織り物に比べてまだまだ浅く、歴史についての資料はすくないが、石器時代に一本の連続した糸を使って作られる魚網があったそうな、、、。青銅器時代に知られていた、伸縮性のある素材の編み方は「スプラング」や「ブレーディング」と呼ばれていた。ずっと前から存在され、そして代々受け継がれてきた編み物の編み方。形は違えども今に至る。しかし人間というのは素晴らしい遺伝子を受け持つのだと感銘を受ける、絶対に必要な物と必要じゃないもの、これは絶対に役に立つというジャッジ力、そしてその知識を受け継いでいき、進化していく。計り知れない事だと。
彼女もまた歴史を作り出す発端者に、ニットの洋服達や小物達の編み方に感銘を受けた物達が受け継ぎ、また新しく進化していくのだろう、、、。
それくらい彼女のつくるニットという芸術のような作品達は、見る物を魅了するくらいの出来栄えであり、ニットへの愛情と、執着心、ストイックさ、、、。
もともとMarieは『BLESS』というドイツ発信のブランドでアシスタントデザイナーとして活躍していた。
BLESSというブランドは始めは広告デザインからスタートしていき、クリエイションとして、とてもコンセプチュアルなプロダクツを生み出し、衣服、アクセサリーなどのコレクションも発表。いろいろなジャンルに挑戦出来る環境で彼女はきっと伸び伸び育ったのであろう。その発想が今の自身のブランド、『Marie-Louise Vogt』自由でそして透明感があり世の中を凛とした形で作られている。
そこはかとない素材。何をしても自由自在で、いろいろな生地を編み出せるニット。そんな計り知れない素材を操り、素敵なディティールを生み出す。そしてそれを最大限に生かす手作業、センス。ワクワク出来る物を見つけると、楽しくなる。
『Marie-Louise Vogt』次のコレクションも様々な表現をしてくれるのだろうと、楽しみだ。
Marie-Louise Vogt
ハンブルグ応用大学にてファッションを学び、2006年に卒業制作作品がハンブル美術工芸博物館にて展示、発表された。
BLESSでアシスタントデザイナーとして活躍後、2007年A/Wに自身のブランド『Marie-Louise Vogt』を発表。翌年からベルリンのファッションウィークに参加するほか、パリやミラノでも、経験を多く積んだという経歴がある。
絶妙な色使いとディティールで瞬く間に有名になったニットデザイナー。
TEXT BY NOKU