まるで絵画を見ているような、はたまた映画のワンシーンを見ている様な、とても美しい描写。
映画を見ていて一時停止ボタンを押し、ある場面が止まったかのように...また再生すれば動き出すんじゃないだろうかと思わすぐらい臨場感に溢れていて、被写体の次の動作までも想像させられる。
映し出される人や物すべての被写体の一つ一つが、それぞれのストーリーを物語り、その意思が偶然ではなく意図的に完璧な構成を経てその存在感を示している。
多くのファッション誌で活躍をみせる写真家、KOURTNEY ROYは、2007年、パリで最も影響力があるといわれている「PRIXPICT」の特別賞を受賞した。
彼女は大学でアートと写真を学び、CaravaggioやGentileschiのバロック時代の絵画に見られる様なドラマチックなポージングや光の効果、宗教的なモチーフに影響を受け、同時にDonnie Darko、Hitchcock、Wong Kar Waiらの映画からも多くのインスピレーションを得ていると言う。
先頃行われた 09-10 A/W のパリコレクションでは、ソフトでフェミニンななかに、どこか神秘的で毒のあるスタイルが多く見られた。
そんな流れの早いファッションのフィールドを軸としながらも、写真家が被写体に求めるクラッシックな手法を抜け出すために、セルフポートレートという手法で写真を撮り、時には自らがモデルとなりストーリーを表現することも忘れない。
現在、パリで最もハイセンスなホテル『COSTES』が発行する『palace』や『 VOGUE PELLE』、『GQ』、『Esquire』、『Above』などのエディトリアルで活躍する傍ら、新作の個展も準備中だそうだ。
まだまだキャリアのスタート地点にいるKOURTNEY ROYだが、シンディー・シャーマンや森村泰昌等にも劣らない輝きを秘めていることは間違いない。
text by G,M