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  • Posted on
    2010.04.24
  • posted by kenshin.

hussein chalayan 〜服から始まり、服に帰る旅〜



現在、東京都現代美術館にて公開中の「hussein chalayan服から始まり、服に帰る旅」日本初公開の試みであり、待っていましたと言う気持ちが高まります。
1994年~2009年という15年間という彼自身、フセイン・チャラヤンとして、そのものを出し切ったような個展なのかな?と感じ取れます。
彼は、デザイナーの中でもセンスと知性を兼ねそろえる唯一の数少ないファッションデザイナーであり、いろいろな挑戦を形にして評価され、賞賛されている。 そして、作る洋服を見ていると、インテリジェンスでミニマルでありながら、すごくリアルに生温かさを感じてしまう。女性のラインの見せ方を、美しく表現する服作りというのは彼にとっての追求であり、体についてとても興味深い形なのだ。彼の頭の中には、いつも哲学的で、建築物のような構築されたイメージがある。

ちなみに今回の個展の内容というのは、「フセイン・チャラヤン」というファッションデザイナーであり、クリエイターとしての表現方法である。
 そして、アイディンティティ、移民、移動の問題というメインテーマがあり、彼はいつも一歩も二歩も先を見据えているような考えであり、とても先鋭的に思え、普遍的にもとれる。彼は「何かをデザインするのは、機能があってこそなのです。そのためデザインは最終的にミニマルに帰着します。しかしその作品の中にたくさんのリサーチや思想が詰め込まれているという意味ではミニマルではないのかもしれません。アイデアを付け足していく過剰なデザインは、ごまかしが利くので、好きではないです。アイデアをまとめることの方が難しいのです。」と語っていますが、まさにこの考えがミニマルの極限ではないのだろうかと...。シンプルというのはその人の質だったり、アイディンティティが必要であり、極めて難しい表現方法なのだ。










原始的で根本的な発想のものから、LEDというテクノロジーを駆使した生地を利用して、ドレスを生み出したり、ショーや服を見てもアイデアは独特です。蜘蛛の巣を彷彿とさせるマクラメのドレス、シフォン製のドレスをヘリウム入りの風船からぶら下げる、仕立てあげた服に光る航空経路のパターンを施すなど、そのときのテーマによりさまざまです。シンプルな中でアイデアが凝縮され、ディテールへのこだわりがあります。
こうしたテーマは、南北に分裂したキプロスの国境地帯で生まれ育った彼にとって、きわめて現実的な問題だったといえます。また、情報化社会に乗っ取られた世界に生きている私たちが、すぐに連絡が取れたりする行為を、彼は分断されてしまった土地に住む恋人に、自分が着た紙のドレスに手紙を書き、送れるようにしたエアメール・ドレス。
とても、ロマンティックな世界観であり、外の遮断された世界から、興味の塊がしずかに流れ出て、形になる。
ファッションとアートの領域を超えてしまう彼の頭の中の世界観は、率直な表現なんだなと。実に今回の個展は見物だなと思います。





そして、私自身が感じた事というのは、このファッションという流行の渦のなか、ファストファッションや、流行に捕われた洋服などファッションと言うのであろうかというデザインを世に垂れ流し、なんのひねりもなく、お手本を見て、服を着て、町をあるく。

その歩いている人も表現者として、ウォッチされる。

質だったり、形だったり、値段だったり、皆いい物を着れる時代ではない世の中、アイデアが乏しいのではなかろうかと感じる。そんな世の中に、彼の個展というのは実に救いのような存在である。 とりわけ、個展に出ているような、レーザーの出る洋服や、LEDを使った洋服をきて町を歩けというのではなく、その生まれてくる「アイデア」という言葉を噛み締めながら鑑賞してみたりと、創作意力や、想像をかき立てられるんではないかと、、、。

少なくとも、見に行かれる方達は、未来のファッションデザイナーを目指す人たちや、まったくアート感覚で見に来られた方もきっとファッションや、アートの可能性の新しい光が見えるのでは?とひしひしと感じ取りました。





hussein chalayan

1994年のデビュー以来、ファッションとアートの二つの領域を横断的に活動するクリエイターの先駆者として、幅広い活動を行ってきた。一つ一つのコレクションに込められる現代社会への批評性や、LEDやレーザー光線など最先端のテクノロジーを駆使した革新的なデザインは、国際的にも高い評価を獲得し、06年には大英帝国勲章を受章している。アートの分野においても、映像作品やインスタレーションを精力的に制作し、01年イスタンブール・ビエンナーレや05年ヴェネツィア・ビエンナーレなどの国際展に参加。日本でも07年に東京で開催された「スキン+ボーンズ」(国立新美術館)、「SPACE FOR YOUR FUTURE」(東京都現代美術館)などの展覧会で作品が紹介され話題を集めた。





参考資料 東京現代美術館


text by  noku

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