2009A/Wのコレクションも終わり、全体をざっと通してみると色々浮き上がって見えてくる物があったコレクションでした。
ファイナンシャルクライシスが起こり先行きが不透明な世の中のまっただ中で行われた今回のコレクション。
洋服自体の事は評論で糊口なさっている方々が考察なされておるので、遠慮させて頂くとして、今回2009A/Wにみるヘアから色々と考察していきたいと思います。
ショーに置けるヘアの存在は裏方ではあるもののショーの方向性、女性像をかなり大きく左右するポジションに有るのでヘアの位置づけはかなり大きい意味合いを占めショーアップの大きな大きな要となっていきます。
通常、ヘアをスタイリングする際、シェープ(形)、テクスチャー(質感)、カラー(色)の複雑なバランスで構成していきます(ヘアアーティストがこの事を意図的に意識しているかは別の話として)
今回、特に注目して見てみたのが大胆でファンタジー、画一的でコマーシャルではないヘアスタイリングにスポットをあてて考えてみました。
特に目をひいたのがはっきりとしたカラーをヘアに大胆に使っていったメゾンでした。
ショーのヘアにおけるカラーの要素はモデルのヘアカラーがバラバラ、次にショーを控えているモデルの事もかんがえたり一時的な染色以外は契約等でモデルに施せないなど諸々な事情が重なりカラーという要素はなかなか扱いズライ要素のひとつでしょう。
今回のシーズンでその扱いズライ要素をかなり盛り込みクリエーター同士の素敵な悪巧みを素晴らしい形で昇華したメゾンが目を引きました。
そのカラーに目を引いた原因はいくつかあるのですが今回のショーでかつてこんなにバックグラウンドに黒を使用したショーがあったのか?と言うほど黒のバックグラウンドで構成されたショーが多かったのも特徴的でした。
その黒に映えると言う意味ではカラーを押し出したヘアーもうなずけます。
黒、白、赤、ピンクなどはっきりした色合いをヘアにチャレンジ的に使用しショーアップに成功しているメゾンからは、やはり先行きの見えない世の中から脱却したいと言う新しいチャレンジの意味合いもこもっている気がします。
特にCOMMEdesGARCONSの大胆なピンクを使用し完全変態前の蛹の繭のようなシェープを素晴らしいバランスで紡ぎ上げたヘアスタイリストとメゾンの素敵な悪巧みは目を引きました。
全体を通してみると色、ドライな質感、ソリッドなシェープの要素がトレンドをリードしていきそうです
現在、ファイナンシャルクライシスが起こりファッション自体がシステムダウンを起こしているかの様に自由な発想が失われ、自ら首を締め付けているような昨今、今回のコレクションで大胆にチャレンジを行っているメゾンをみると何やら革命が起こる前の息吹みたいな物を感じ取れる事ができました。
ファッションとはもっと自由な発想や自由に生活を楽しむ為のファンタジーなクリエーションを垣間見れる現実の中の夢であってほしいと個人的に願うのです。そういう意味合いでは今回のコレクションなにやらデコラティブなヘアを作り込んでいるアーティストがキラリと光った気がしました。
COMMEdesGARCONS
大胆に使用されたピンクの色身に完全変態前の蛹の繭のようなシェープを素晴らしいバランスで紡ぎ上げています
Alexander McQueen
LEI BOWERYからインスパイアーされた感のあるシェープ デコラティブでありながら白と黒でのすっきりとした構成
YOJI YAMAMOTO
DRYな質感で構成されながら大胆な色の使い方でインパクトのあるヘア
JUNYA WATANABE
黒に黒を塗り重ねていったようなかなり大きいシェープで,,,
PRADA
ホワイトなヘアーにDRYな質感 これもバックグラウンドは黒!
ROBERT GELLER
白でDRYな質感、ソリッドなシェープにも注目
TEXT BY KESO