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  • Posted on
    2011.01.18
  • posted by kenshin.

Collaboration





スウェーデンのH&Mは、今期のデザイナーズ・コラボレーションにフランスの老舗メゾン「LANVIN」を迎えた。アーティスティック・ディレクターのAlbert Elbazと、メンズウェア・デザイナーのLucas Ossendrijverによるレディースとメンズの限定コレクション「Lanvin for H&M」を展開する。



今回のコラボレーションについてElbazは、「私は以前、大量販売用のコレクションは決して制作しないと発言していましたが、このコラボレーションでは、LANVINから一般顧客層というアプローチでなく、H&Mからラグジュアリーの世界へのアプローチというアイデアに強く興味を惹かれました。全く異なる2つの会社が一緒に仕事をできたのは、世界中の人々に至福と美を届けるという同じ哲学を共有しているからだと思います」とコメント。

「Lanvin for H&M」は、2010年11月23日から世界のH&M約200店舗で販売が開始された。


今やファッション業界にとって欠かせない存在となったデザイナーズ・コラボレーション。前述のH&Mはもちろんのこと、UNIQLOやGAPなど様々なブランドから、日々新たなコラボレーションが発表されているが、年々白熱するこの分野にNew Yorkの老舗デパート、Macy'sが参戦することが明らかになった。

2011年2月発売予定のコラボレーションに、第1弾として登場するのは、イタリア・ミラノ出身の若手デザイナー、「KINDER AGGUGINI」。2006年のロンドンコレクションにて自身のシグネチャー・ブランドをスタートさせ、Dover Street Marketでの限定展開も話題を呼んだ期待のブランド。

続いて、具体的な発売時期はまだ決定していないが、第2弾として登場するのが「EMILIO PUCCI」のクリエイティブ・ディレクターとして活躍し、2009年にはH&Mともコラボレーションを果たしているMatthew Williamson。

そして、第3弾の担当デザイナーは、FENDI、CHANELのデザイナーを務め、フォトグラファーとしても知られるKarl Lagerfeldになるのではないか?と言われている。彼にとっては2004年H&Mとのコラボレーション以来、実に7年ぶりのデザイナーズコラボとなるこのカプセルコレクションでは、ジーンズからパーティー・ドレスまでを包括した幅広いラインナップになるという。


少し遡って2008年、やはりH&M、Louis VuittonとコラボレーションしたComme des Garçonsの川久保玲氏は「違う価値観の中で、うちの価値観がどれだけ勝負できるのか試したい、という興味からです」と、コラボの理由を語っている。また、「このような話(ビジネス)が成立すること自体、何かの変化の兆しかもしれません」と...。

コラボレーションもまた「新しさへの闘い」と言いきる川久保玲氏の、この2社とのコラボレーションは、少し趣きが違って見える。コラボとは、文字通り相乗効果を狙った戦略的なビジネス・スキームである。しかし川久保玲氏の真意は、ハイファッションの象徴であるLouis Vuittonと、ファストファッションの象徴であるH&Mという全く異なる価値観と合わさることによって、Comme des Garçonsの価値観をどう出していくのか、という部分にあったのではないだろうか? 更に言えば、Louis VuittonやH&MをベースにしてもComme des Garçonsがイメージとして浮き立つかどうか、という実験の場として捉えていたのではないだろうか? 何れにしても、常にマジョリティ(多数派)とは正反対の方向に進んで来たComme des Garçonsの哲学は、結果として大衆向け路線を歩んできた両社の救世主となり、コラボレーションという勝負にも勝利した。

「何が売れるのか?」というリサーチと徹底したデータ分析を行った上であえてその逆を行く、という反骨精神は、「売れる物作りをしたことは一度もない」というスタンスにも象徴されている通りである。


本来、共演・合作・共同作業等と訳される「コラボレーション」という言葉は、2000年以降プロモーションやファッションの世界だけに止まらず、TVCM、雑誌、企業同士の共同企画、映画や音楽、アニメなどの著作物でも用いられるなど、その用例が増々曖昧になりつつある。そんな中にあって、Comme des Garçonsのフィロソフィーは一際異彩を放っている。ともすれば、利害や提携先のブランドイメージのみが頼みの綱になりがちなコラボ企画市場にあって、自分たちの存在意義をかけてコラボに臨んでいるブランドが、果たしてどれくらいあるだろう...。 21世紀のコラボレーションは、己の存在と価値観を更なる高みへと押し上げる様な意味合いを、より強めて行くのではないかと予測される。誰も彼もがコラボっている今だからこそ、あえて自社の存亡を賭けて闘いに挑む様なコラボによって、次世代に生き残るべきブランドが生まれてくるのではないだろうか...?

Reference

ファッション通信

Fashion Press





text by wk

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