本当の自転車を知り,その能力と楽しさに気付いた人は,健康や環境の面からも(自転車と言う道)を選び始めている。
日本のみならず、昨今のエコムーブメントの主格としても、世界規模で様々な自転車に対しての見直しがされています。
只、日本では少し見解が世界と外れているような感じも否めません。
世界的不況下の影響もあり、ヘルシーでエコ、またはファッショナブルな乗り物として単なる移動するものだけでない感覚で一つのブームともなりつつあります。
しかしながら、その反面で自転車が増えるとなると街全体の環境も又変化しなければならない問題も出てきています。
そこで,自転車だけにとどまらず、世界屈指の環境問題に積極的に取り組んでいるドイツのミュンスターという街は、知る人ぞ知る自転車の街です。
自転車先進国ならではの人々の工夫と姿勢が溢れている
そこには、積み上げてきた歴史と共に、人々の心ある日常が垣間見れます。
ミュンスターは日本人にも観光地として人気のあるローデンブルグなどと同じ城塞都市です。中世の石畳と街並みの残る美しい街で、環境問題にドイツで最も積極的に取り組む「環境首都」としても有名です。また人口以上の台数の自転車があるとも言われ、「自転車首都」と呼ばれるほど自転車の利用が進んでいます。特に中心部では完全に自転車が優先で、クルマは締め出されています。
自転車が市民の主要な交通手段になっており、総延長300キロ近い自転車道も整備されているミュンスターは、国連環境計画の主催した暮らしやすい街コンテストで、世界400以上の都市の中から金賞に選ばれたそうです。世界有数の暮らしやすい街であることは間違いなさそうです。もちろん、市内随所に駐輪場も整備されていますが、ミュンスター駅前のど真ん中に立つこのガラス張りの建物も巨大な駐輪場です。さすが世界でも有数の自転車都市です。
日本でも今後都市部の立体駐輪場は増えていくでしょう。少しずつ駅前駐輪場の収容能力がアップすることにより、迷惑駐輪が解消されることを望みたいですが、そんなに簡単な話ではありません。せっかく多額の建設費をかけて設置された立体駐輪場も、利用されなければ意味がありません。しかし、必ず利用されるという保証はなく、利便性や利用料金などによっては、まったくの無用の長物となる可能性すら秘めており、今でも利用の低迷している駐輪場が出ています。
利用の促進のためには、まず料金をいかに下げるかという問題も重要な要素でしょう。しかし仮に無料だったとしても、わざわざ駐輪場にとめるのは面倒という人も出てくるに違いありません。そのへんはマナーや公徳心の問題です。本来は、個人個人のモラルに期待したいところですが、実際のところはかなり難しいと言わざるを得ません。
そこでドイツのミュンスター市のこの駐輪場が、ヒントの一つになるかもしれません。ここは、ただ自転車をとめるだけではなく、様々なサービスが受けられるそうです。自転車の具合が悪いときは、預けるときに依頼タグを挟んでおけば、帰りまでに修理調整してくれます。市の施設なので料金も格安です。洗車機(洗自転車機)などもあって、きれいに洗ってもらう事も出来ます。この街へやってくる人には、レンタルサイクルもあります。
いわば自転車向けのサービスステーションです。我々の駐輪場の概念を越えていますが、日本でも有効なのではないでしょうか。パンクやトラブルがあっても、駐輪場にとめれば修理や調整をしてもらえるのは、時間や手間から言っても大きなメリットでしょう。修理やメンテナンス、洗車で快適に乗ることが出来ますし、盗難も防げて自転車の寿命も延びますから、利用料を払っても得という判断にもつながります。会員サービスとしておけば、多少の料金を払っても駐輪場を使う動機づけになるでしょう。
単に駐輪するだけなら道ばたにとめるのと変わりがなく、料金を払うのがバカバカしいと考える人も出てくるでしょう。しかし、何らかのメリットを与えることは、駐輪場の利用を促進し、利用したほうが有利、利用するのが当たり前となっていく道筋をつけることにもなりそうです。直接自転車関連だけでなくとも、お店と提携した割引サービスとか、列車利用の優遇とか、自治体と連携した優先的な住民サービス、場合によっては駅までの送迎など、いろいろ検討できるでしょう。
駐輪場というハードを設置するだけでなく、その運用面の工夫なくしては利用も促進出来ません。そうしたソフト面を自転車天国の施設に学ぶのも有意義と言えそうです。しかし一方で、単に銀輪公害を減らすため仕方ないから駐輪場を使うというのではなく、地球環境のためにも積極的に自転車を活用し、クルマの利用を減らすという前向きな姿勢も強調し、自転車利用自体のイメージアップも欠かせないでしょう。また、教育や多くの人々を啓発しコンセンサスを醸成することにより、自転車を放置するような行為が「みっともない」、「とても恥かしい」という意識を定着させる、そんな地道な努力も必要なことなのではないかと思います。
(参照 サイクルロード自転車への道)
NY,PARIS等、主要国の自転車にまつわる事情も又、変化してきているようです。
現在,NYでも駐輪は問題視され様々な取り組みも行われています。
駐輪場がないが、至る箇所でまず、日本では見られない何とも粋なデザインの駐輪スペースが見られる。
機能性や、利便性は当然必須だがこうした、遊び心もまた、お国柄もさながら人が楽しみながら街全体が変わるきっかけになるかもしれません。
一方パリでは主要な道に自転車専用レーン(pistes cyclables)ができ,自転車専用の信号まで設置する,取り組みを見せている。
環境先進国ドイツを自転車タクシーは、この専用レーンをぐんぐんと走っていく。
しかし、パリでは、まだ、それほどには活用されておらず、人がこのレーンを呑気に歩いている姿も見受けられる。
ドイツを始め、スイス、オーストリア、そして、もちろん北欧にもあるエコタクシー。
もはや、自転車タクシーのない都市はソフィスティケイトされた都会とは呼べなくなっている。
この様に,主要国も様々な動きを見せる中、今後、日本も又、どのように自転車を文化としてとらえ行動して行くか、結局ハード面はきっかけであり、重要なのはいかにその国々にあった,ソフトを作り上げて、継続させて行くかが本来のエコに繋がって行くのでしょう。
不況でありながらも先進国では情報や物が溢れ,贅沢しなければ何不自由もない時代ではある。
自転車もさながら人間とものとのバランスが今まさに21世紀の生活スタイルを試されている様に感じる..
ほんの少し、人が人である為に物や自然に対し何を感じ対話して行くのか、心を試されているのではないでしょうか?
TEXT BY H.M