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    2009.04.06
  • posted by kenshin.

おもてなし





安土桃山時代、日本を愛し日本のおもてなしの文化に触れ感銘を受けた一人のポルトガル人がいた。

ジョアン•ロドリゲス(1561~1633年)【ポルトガル北部に生まれる。年少にて来日、1580年イエズス会に入会。日本語が堪能で、イエズス会の通訳にとどまらず、会計責任者として生糸貿易に大きく関与した。時の権力者との交渉役も勤めたが、陰謀に巻き込まれ、1610年マカオに追放。日本帰還を願ったが叶わず、ついにマカオに没した。日本語や日本文化への才覚を以て文法教科書、日本語文典、日本語小文典を著した他『日本教会史』等の著者としても知られる。】
このジョアン•ロドリゲスが日本人の日常生活に接してもっとも感動したことの一つが日本人の礼儀正しさ、礼儀作法の風俗であった。『日本教会史』中で、日本人の風俗、礼儀一般について次のように述べている『日本人の礼儀、風俗は、その基礎は中国古来のそれによっているが、日本人は日本の風土に応じ独自の流儀を創り上げている。人間の学問すなわち道徳の学問は、礼儀を弁え、共同に生活する社交性を持った動物としての人間を扱う。その人間は天と地を共通一般の両親として、その秩序、道理、特質を模倣して共同に生活し、すべての人に通用する五つの道徳を守っている。それは五常と呼ぶもので、日本人は仁、義、礼、智、信という。それらの中の第1のものは、慈悲、従順、仁愛、愛情およびやさしさであって、これらのすべてを包含しているのである。第2は正義、平等、公正および清廉であり、第3は尊敬、礼儀、礼儀正しさであり、第4は賢明さであり、第5は人間の交際と交渉における信義と誠実である。』 仁、義、礼、智、を基本としこれを通じて最後に信が生まれる。 人間関係を大切にするという理念がある。この理念を基に人間関係を作っていく。
 日本の映画『おくりびと』が第81回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞したことは記憶に新しいかと思いますが、 この映画では納棺師と故人の家族が死に対し向き合う姿、心を美しく描いています。 私たち人間のほとんどが自分の死の前に必ず誰かの死を体験します。その時私たち日本人は死んでもなお故人を尊敬し思いやり、何かをしてあげようと思います。頭を洗い、化粧をし、着物を着せ、その一つ一つに心を込めもてなし送り出す。生前に好きだったものや色々な思い出をまるで本人になったかのように共有し大切にします。このような死んでもなおその人を尊敬し思いやるおもてなしの心にロドリゲスは感動したのではないだろうか。
一方では『殺すのは誰でもよかった』などと言い身勝手に自分の事だけを考えた凶悪犯罪や詐欺という言葉を頻繁に耳にする。家庭でも親が子を殺し、子が親を殺す、人間関係が崩壊し孤独になっているこの時代。 日本人は、相手を思いやり、尊敬し、信じる心を忘れてはいないだろうか? 人間不信が取り巻く今、ジョアン•ロドリゲスが愛した日本の素晴らしい財産『もてなす心』を思い出し一人一人が相手を思う事こそ今の世の中を救う手段ではないだろうか。
text by G,M




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