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  • Posted on
    2010.10.04
  • posted by kenshin.

Malmo agenda 21




近年、地球温暖化が国際的な共通課題となる中で、オバマ大統領がグリーン ニューデイールとして打ち立てた政策を筆頭に、 日本もさながら各国が動き始めている。
只、そこには国々の文化的要素が大きく関係し、人々の認識や行動が差別化されているのも現実。
その中でもスウェーデン第3の都市マルメは、風力や太陽光発電を利用して環境に配慮した町作りを進めている。
化石 燃料の消費から再生可能エネルギーの利用への転換を図る北欧の港町の取り組みは国際的にも注目を集め、 投資や人口流入をも促している。

1989年、マルメでは造船会社コッカムが撤退した。前後3年間で3万人が職を失い、失業率は22%にまで跳ね上がった。
重厚長大産業への依存からの脱却を迫られたマルメは、「知の町」への転換を図ることを決め、 復興を支える大きな柱の1つに「野心的な環境目標を持った持続可能な開発」を据えた。 具体的に取り組んだのが、風力や太陽光発電など再生可能エネルギーのインフラ整備。 ウエスタンハーバーから3キロの地点に風車を建設し、地区内に新たに建てた100棟のビルには総面積1400平方メートルにもなる太陽光パネルを設置した。予算は約1億ユーロ(約135億円)。

財源は4分の1を政府が 補助し、残りは開発業者が負担した。 最初に開発した全体の6分の1ほどの地区で、電力源や熱源に100%再生可能なエネルギーを充てることに成功し、1000戸に化石燃料を一切使わない電力を供給している。それにより光熱費は、30~40%安くさせる事に成功した。
マルメの人口はここ数年、年間約5000人ずつ増加しており、28万5000人。 ウエスタンハーバーには、IT産業やサービス業が進出し、21社が7000人を雇用している。


スウェーデンの面積は日本の約1.2倍の大きさで、国土の53%が森林地帯で、17%が山岳地帯、9%が湖および河川。

 スウェーデン人は自然を愛する国民であるが、地球規模での温暖化の影響や近隣諸国から越境する酸性雨の影響で、森と湖の生態系が崩壊されている。そうした天変地異も含め自然の厳しい現実を人々はダイレクトに経験し痛感した。
そのため、1972年にストックホルムで開かれた第1回地球サミット「国連人間環境会議」のホスト国となり、1992年の第2回地球サミット「国連環境開発会議」で採択された持続可能な社会を目指す行動計画「アジェンダ21」を実践するため、国内法「持続可能な開発を目指す法律」を施行し、環境教育に力を注ぐ事になった。

街の中は徒歩や自転車で通勤・通学する人が多く、風力発電の電車とバイオガスの市内バスを利用しています。バイオガスのマイカーで通勤している人も少しいますが、ガソリン燃料の自動車は非常に少ない。
  ガソリン1リットル当たり0.86クローナ(14.6円)の二酸化炭素税が料金に加算されるため、利用者は年々少なくなっているとのことです。バイオガスは生ゴミや汚泥をメタン発酵で得られるガスで、年々利用率が増加しているとの報告があり、得られた二酸化炭素税は風力発電の建設費に当てられている。
 また、自転車の利用カードで有効利用できるようにするため、各所に貸自転車が設置されており乗換えも容易です。
さらに、各家庭の暖房と給湯には燃料として木質チップを地区毎、アパート・マンション毎で利用し、省エネ(節電)にも協力している。  ストックホルム市の大型エコホテルでは、ゴミを22種類に分別して、再資源化を容易にしています。
食料は地元産の食材をできるだけ利用しています。また、アパート・マンション毎にゴミの分別回収が適正にやられているかチェックされ、毎月の排出状況がグラフに記載されます。不適正と認定されるとアパート代に分別経費が加算されるため、入居者全員が協力してる。  ゴットランド島では、廃木材や間伐材をリフォームの建築材や燃料に利用し、さらに、森を活性化するため伐採して木造建築の家や木製家具に利用し、樹木を1本切ると2本の苗木を植えることが義務付けられています。

また、中世代の石造建築物が多く残されているため、世界遺産に指定された建築物を長期間保存して観光用に利用し、一部破損した石造物はアパートに改良して利用している。   沿岸には風力発電施設が設置され、二酸化炭素税を利用して年々増設されています。総発電電力量は水力~原子力≫火力≫風力の順であるが、1986年のチェルノブイリ原発爆発事故の灰でスウェーデンの畑・森・山・湖が汚染された。そのため、原子力発電の廃止を求める人が多くなり、風力発電と太陽光発電を増設されることが望まれている。  火力発電に使用される石炭は1トン当たり916クローナ(15,572円)の二酸化炭素税が加算され、地球温暖化対策として化石燃料の減少が遂行されています。そこで、広大な畑に菜の花を栽培し、多量の菜種油を製造し、菜種油はてんぷら油に利用した後、精製して大型自動車や火力発電の燃料に利用しています。

飛行機や貨物船を利用しても、二酸化炭素の排出量に応じて炭素税が加算されます。食料を遠方から運ばれると、移動距離に応じて二酸化炭素税が加算されます。そのため、地元の無農薬で新鮮な農産物の利用が年々増加しているとのことです。 スウェーデンは公的機関・事業所・国民(NPO)が一体になって、「二酸化炭素の排出量を削減し、持続可能な社会を目指している。」

その中心都市としてマルメ市は、インフラをより環境にやさしくすることが、気候変動による大惨事を避ける最速で簡単な方法であると述べている。

今日ではマルメ市は、温室効果ガス削減についてのEUの市長誓約の先頭に立つ加盟都市のひとつである。マルメ市では、家庭ごみを燃やし熱や電力を得ている。送電線を使用しないことによって、伝達時にエネルギーを消失することがない。そして、さらに環境にやさしい環境都市となるべく、国民一人一人が意識し努力を続けている。 








只、ここまで政策を実現できたのは単なるファッション的なエコの捉え方とは一線を画す思考が前提にあり。 国の政府機関もしかり、人々が自らが生きる事を真剣に考え共通の目的を認識し行動を積み重ねた結果だったのだろう。


今世紀に入り、こういったエコプロジェクトの成功例は欧州の小国の躍進が目立ちます。 特に実験的な政策に果敢に取り組む北欧は実路も兼ねて同じような小国の日本より政策のレベルが明らかに高い。

何よりも、国民一人一人が自らが生活に対する未来像を描く創造性を豊かにし、群れる美学に翻弄されず、よりパーソナルな判断と行動が問われている様に思う。 国々の文化の積み重ねから見直し、新たな形を見いださなければ、本当に地球規模で今まで積み重ねて来た事や決して 失っては行けないものを我々は無意識に手放しているかもしれない。

大げさでもなく人々の生き方までも判断を突きつけられているのが、この21世紀の在り方なのだろう。

もう既にすべては動き始めている、人々は、この現実にどう向かい合っていくのだろうか?



text by HM

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