Arcology
ARCOLOGY(アーコロジー)って聞き慣れない言葉ですが この意味は、建築(アーキテクチャー)+生態(エコロジー)の融合を目指した=ARCOLOGY(アーコロジー)って言う造語です。
この思想は自然環境に対し、もっともっと機能的に鋭敏な都市環境を創り出すことを目指す生態学であり、責任ある景観を提出することに努める建築との結合を目指す、現代のユートピアという考え。
簡単に説明すると自然と一体となり生産、消費活動が自己完結する建造物、都市というのが分かりやすいのでしょうか。
この哲学を生み出し打ち出したのがパオロ•ソレリ(PAOLO SOLERI)
彼は1919年イタリアのトレノ出身で1947年にあのフランク•ロイド•ライト奨学金を得てかれの下で建築を学びます。その後イタリアに戻り、36歳のときに再び渡米を決意しアメリカに渡り、アリゾナ州フェニックスの近郊に滞在しコサンティー財団という教育組織を作り、師であるフランク•ロイド•ライトの考えを継承・発展させ、社会的資源を集中させ資源をより効率的に利用し、都市スペースをコンパクトにすることにより環境が維持できると考え、都市や建築に挑戦的で未来的考え方でもある衝撃的なプロジェクトを手がけています。
彼曰く
『きたるべき人口増加、エネルギーの欠乏に向け、都市構造は小型化、高密度化されるべきであり、生態学的に適正な性格と規模と「自然」な景観を保ち、システムのエネルギー浪費防止のための多層化、高密度化、複雑化(Complexity)と凝縮化(Minaturization)によって超構造化した巨大な単体構造物を目指している。』と語っています。
Arcosanti
その考えや哲学をソレリ自身、実験し実践しているのがアリゾナの砂漠に建築中のプロジェクト都市アーコサンティです。
これはソレリが1970年から砂漠に仲間を集めその現在進行形で行われている建築プロジェクトで延べ2000人を越える学生、各種専門家、芸術家、学者、一般賛同者が参加しており。ヒッピームーヴメント等のユートピア的共同体思想の高まりもあって、多くの若者が集まり、手仕事による作業が行われています。現在でも、ワークショップという形で5週間アーコサンテに泊まり込み、この建築をともに築きあげるプログラムもあり。(一般参加可能)毎週水曜日にはソレリ自らの講義も有り学生や建築に携わる者にも人気がある様です。
現在、セラミック・スタジオ、ファンダリー・スタジオ、カフェ・レストラン・プール、ビジターセンター、屋外劇場、住居などが既に建設されています。
行ってみるとわかるのですが本当に360°何も無い砂漠に有り、ゲストハウスから夜、見上げる星空はまさに宇宙のどこかの惑星にいるみたいな錯覚すら起こしてしまいます。
この施設は予約をすればソレリのデザインのゲストハウスに安価で泊まれる事ができ、アーコロジーが身近に体験できます。とりわけ朝食の焼きたてのパンとオーガニックコーヒーは素晴らしく、個人的体験ですがCAFEでのディナーは本当に美味しかったです。
ソレリの計画するアーコサンティプロジェクトの規模は巨大で完成すれば約6000人の人々を収容する都市になる予定ですが、1970年から始まり40年近くたった今、いまだ完成を見る事は無くまだ彼の計画の数パーセントにすぎないと言われています。資金繰り等からか建設のスピードは速まっていない気はしますが、携わる人々はこうかんがえています。
このアーコサンティを案内してくれた若いスタッフに聞いた所「僕の親が昔、ここで作業に従事していて、僕自身もここに興味を抱き今ここで働いています、今はカリフォルニアから来て約9ヶ月になりますが作業員の殆どはボランティアの若者たちだから、仕事が遅いのは仕方がない。でも、決められた期日があるわけでもないし、プロジェクトを早く終わらせることが目的でもないしね。大切なのは、その過程で一人一人が学び、成長することが大切なんだと思う、いつ終わるかわからないプロジェクトだけど、、雨漏りもしてる箇所もあるけどね、、」
またソレリ自身も「 このプロジェクトを笑う人は沢山いるだろう。一生かけて、何をやってるのかと、しかし、そういう人は大切なことが分かっていない。何ができたかではなく、何をつくろうとしたか。どこに着いたかではなく、どこに向かって歩いているかが大切なんだってこと」こう語っています。
ソレリは現在90歳と御高齢では有りますが、まだまだ精力的に活動なさっているご様子で40年も前にこのような未来的な考えを築き上げ実践し、今、なお進んでいるこのプロジェクトに触れると、自然や有機体に学び自然の一部である人間の21世紀への生き方のヒントがぎゅっと詰まった砂漠の中のユートピアをもっとみんなに知って体験してもらいたいと感じました、もはやこれは夢の都市ではなく、現実に今、必要な都市の形なのではと感じざるえませんでした。
この建造物はドーム状になっており普段はセラミック工場として使用、全て南をむいていて、真夏は太陽が真上にくるので日を遮り涼しく、真冬は太陽が低い位 置を動くので日が差し込み暖かい、という機構であり全ての建築に置いて様々な知恵や工夫、自然の力を拝借し生かしきる構造になっています。 デザインもきてます!
ARCOSANTI http://www.arcosanti.org/
行き方 アリゾナ州フェニックス空港から 車で I-17をセドナ方面へひたすら65マイル走り
EXIT 262(CORDES JUNCTION)で降りる 降りると標識が出ているのでそれに従い2.5マイルほど道沿いに走るのと到着。
ビジターセンター アメリカ 928-632-6217 または 602-254-5309
E MAIL info@arcosanti.org
TEXT BY KESO