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  • Posted on
    2011.01.10
  • posted by kenshin.

Gerhard Richter





現在、世界で最も注目を集める重要な芸術家の1人であり、ドイツ最高峰の画家とされているゲルハルト リヒター。 半世紀にも渡りたぐいまれない作品を現在に至るまで勢力的に発表し続け、80歳近くになる現代絵画の巨匠のイマジネーションは無限大に増している。 そこには、一貫して『絵画の可能性』を追求する姿勢がすべてを物語っている。 老若男女問わず、彼の作品を愛する理由には絵画から伝わるエネルギーが漲っているからだろう。 その独創的なイマジネーションを培ったのは、やはり環境やその時代背景が少なからずとも反映している。






その生い立ちは旧東ドイツのドレスデンに生まれたことより始まった。 地元の藝術アカデミーで1951年から56年まで絵画を学ぶが、共産主義体制に制約を感じ、ベルリンの壁によって東西ドイツの行き来が禁止される寸前の1961年、西側のデュッセルドルフに移住。 デュッセルドルフ美術アカデミーに入学。その後、独自の作風を展開していく事になる。
必須すべき事はその独自な制作フィロソフィーであり、アイロニカルに現代資本主義の現実を描く事。 本人曰く、絵画の形式(油彩と水彩、具象と抽象、平面的絵画とオブジェなど)は問題ではなく、ツールだと言う。 そして、自らの概念(コンセプトや思想など)をできるだけ排して作品を制作しようと試みている。 最も有名なのは、初期の頃から製作されているフォト・ペインティングであろう。 これは、新聞や雑誌の写真を大きくカンバスに描き写し、画面全体をぼかした手法であり、その精度は驚くべきものである。しかし、そのスタイルは限定される事なく、モザイクのように多くの色を並べた「カラー・チャート」、カンバス全体を灰色の絵具で塗りこめた「グレイ・ペインティング」、様々な色を折りこまれた「アブストラクト・ペインティング」、幾枚ものガラスを用いて周囲の風景の映り込む作品など、多様な表現に取り組んでいる。 これらの手法は、徐々に開発されていったようであるが、それらは自由に繰り返し用いられている。 写真が登場して以来、中世までの現実や事件の伝達手段としての絵画の役目は終わり、肖像画としても絵画は写真に精度が劣る。その様な中で、絵画の不可能性/可能性を求める試みを探っている。 また、新たに写真に付加された現実性・確実性にも、彼の絵画は動揺を与える。






















やはり、概念や思想を排しているが、逆説的に、「現実」や「真実」だと認識され、信奉されている事柄を、絵画を用いて根底から揺さぶり、再考する様な、コンセプチュアルな雰囲気が全作品を通して見られる。 まさに現代では、希少稀に見るアーテイストと言っても過言ではないだろう。 そのエナジーは消える事なく増すばかりであり、近年では、世界遺産「ケルン大聖堂」の大規模なステンドグラスを手掛けるなど、更なる活躍の場を広げている。 2011年の2月には8度目となる大規模な展覧会が日本で予定されている。 これでまた、更なる多くの人が絵画から発するエネルギーを感じる事になるのだろう。 ゲルハルト リヒター その存在こそ、21世紀に残る軌跡に違いない。。



reference     wikipedia




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