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  • Posted on
    2010.09.18
  • posted by kenshin.

Alex Kanevsky











油絵とは思えない透明感と躍動感、そして少しの不安感...。そんな気持ちを掻立てられるこれらの作品は、極めて計画的で、作者が目指す構成に向かって、淡々と冷静に制作された賜物である。しかし、「決してそうは見えない」というところに、深い哲学性と高い技術力を伺い知ることができる。

それは、単一の瞬間に飽和を構築し、あるコンテンツや指定されたシーンにカゲロウを凝縮することで、 refigured フォームやジェスチャーが継続的に絵画の表面を駆り立てている。このような誠実さと鮮度が彼のナイーブさでもあるのだろう。そして、これまで積み重ねてきた知識によって、物事の仕組みや何かの意味についてきちんと仮説を立て、それらの運動を1つ1つ凝視している。

また、自己表現とコミュニケーションの間の亀裂を調整し、リアルタイムで表す技術を、あるいは「流体の会話」という概念に基づいて採用。そして画面に塗料の透明な層を構築することで、作品の時間経過を、まるで〝遅いシャッター速度の写真〟の様に表現している。時間的空間的立地のダイナミズム、さらに躍動感を両者が構成し、世界の感覚を定義して増幅させているとでも言うのだろうか...。

彼の筆致の強さは、ほぼ映画品質である。これは、動作を解放された人物や風景を抽象化して眺めることで、それによってどんな焦点の描写でも見過ごさず、明らかに私達の視線をある地点へと導いている。



[Alex Kanevsky]

1963年、ロシアに産まれる。

1983年、家族と共にアメリカはフィラデルフィアへ移住。

1993年、ペンシルバニア美術アカデミー卒。




text by wk









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