家業の酒屋を営みながら ライフワーク、パーソナルワークとして写真表現を行う
その被写体は故郷である千葉の御宿・岩和田の浜で40年余「海女の楽園」を撮り続け、失われゆく郷土の海女たちの姿を、生き生きと健康美豊かに捉えていた。
近年、戦後の日本人写真家の作品が評価される中、生活にとけ込んだ景色を群像としてとらえアートの域に引っ張りだす力強い作品群とその視点は今となっては失われつつある文化を記録した貴重なものでもある。
ただの記録的写真やスナップ写真に納まる事なく写真表現としての美しさをしっかりした技術力で裏打ちされたクオリティーを保ち人物像に迫る写真群は圧巻である。
岩瀬 禎之
明治37年2月7日生。千葉県御宿町に生れる。大正13年明治大学法科卒業。昭和8年6月東京銀座松屋に於て海女の個展を開きその後千葉市に於て6回個展を開く。更に戦後は駐留軍の以頼に依り昭和25年8月に東京アニーパイル劇場(宝塚)で写真展を開催す。
ドイツのローライフレックスカメラ主催の懸賞写真展に2位入選。昭和32年毎日新聞社主催日本写真美術展に於て「海女の群像」が内閣総理大臣賞に入賞す。