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  • Posted on
    2009.07.16
  • posted by kenshin.

ALFRED KUBIN




暗黒の楽園を自由に描き綴り、見る者を凍てつかせ凝視させてしまう幻想的で完璧なる闇の世界を持つアルフレート・クービンの絵。
彼は1877年4月10日、当時はオーストリア=ハンガリー帝国 (Austro-Hungarian empire) の一部であったボヘミア (Bohemia) のリトムニェジツェ (Litoměřice、Litomerice) で生まれる。

クービンは幼年期に母親と死別し、軍人の実父に虐待されて育った。ザルツブルクの工業学校に入学した後、写真技師の伯父に弟子入りするが、ガールフレンドの死をきっかけに鬱病となりピストル自殺をはかったため、精神病院に入院。
その後もたびたび精神疾患に襲われ、非合理的なもの、暗鬱なもの、怪奇なものに魅了されていく。
父親の死によって遺産を得てミュンヘンで絵画を学ぶ、マックス・クリンガーの作品と出会い、ショーペンハウエルの思想に感化されるも彼の闇なる独特の世界は幼少期に起こった悲劇的な陰鬱とした虐待の日々に由来するのではないであろうか。

彼は表現者として小説家としての一面もあり幻想文学としても名高い『対極―デーモンの幻想』は壮大なファンタジーとして素晴らしく、完成された物であり、たった12週間で書き上げたといわれている。

どちらにせよ闇の世界の表現者、闇の深淵を司る帝王として純度100%の独特の世界感で徹底的な闇の楽園を築き上げ表現しきった彼の作品はスーパーネガティブが昇華された物として素晴らしく見る者を魅了する作品である。




















text by keso

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