「現代に現れたイカロス」というような表現がpanamarenkoの作品に似合う。
「私がかつて見つけた一番大事なことは、美術の歴史から完全に自由になることができるのだということであるし、芸術はどんなものの中にもあるということだ。」 パナマレンコ
自由になるための探求の生き方の一端を表す彼の作品である、驚異的な外観で知られる彼の作品の多くは飛行機や気球、ヘリコプター的な飛行装置等の彫刻である。
しかしそれらは決して飛ぶことがない。
その異形ともいえる飛行装置をはじめとする作品は我々の身体を縛り付ける重力からの自由という、物理的身体的な制約からの解放を象徴しながらも時に社会制度やそこから生み出される文化的日常のこまごまとしたものからの解放、物理的な解放であり精神的解放、を指し示している。
それは芸術をはじめとするニヒリスティックな文明批判も垣間みられるがそこには決してネガティブなイメージではなく、少年少女の時代に20世紀の人々が夢見た21世紀の愚鈍な未来感や郷愁漂うなにかしらを表すような作品に目が吸い込まれる。
しかしながら深く知ろうとすると彼の真意を理解することのできる作品の数々であることは明白である。
TEXT BY KESO