多重露光というアナロギーな手段をデジタルでふんだんに使い、時代遅れのような
昔のガラス板に焼き付けた写真の様にぼけてクラックした質感やブラックアンドホワイトなコントラストからなる輪郭からは何やら霊妙なエネルギーさえ醸し出す。
被写体は産業構造のガスタンクであったり給水塔であったりとモダニズムな印象派と表現すれば良いのか?
また静物のベートーヴェンやモーツアルトの楽譜や、コーランのページを何層にも重ね合わせた多重露光からなるレイヤーで現存物から意識世界まで到達するかのような感覚を表現。
半透明なレイヤーが織りなす圧縮されたイメージの重なりは密で霊的とも思える
エネルギーを感じ、日々見慣れた様な風景を印象的に多次元のものではないかと?
思えるような異質な見せ方に成功している。
Idris Khan
1978年 イギリス出身の アートフォトグラファー
2006年 サンフランシスコ MUSEUM OF MODERN ART ,
HELSINKI KUNSTHALLEでエキシヴィジョンを行う
2008年 ソロエキシヴィジョンをドバイ、ルクセンブルグ、ロンドンで行う
TEXT BY KESO