これらは、刺青が通常の装飾や象徴として使用された作品群である。 刺青には、より深いレベルから単なる虚栄心に至るまでの精神的文化的な複数の意味合いが関連付けられている。 それは、苦痛や悪といった負のイメージから、あるいは「お守り」のように縁起の良いシンボルとして、相反するイメージを内包している。
彼女の絵の中には、しばしば人間と動物のハイブリッド(雑種)や擬人化された動物達が描かれているが、それは例えば 人体に置き換えられた時に、動物の存在はある種の〝マスク〟としての役割を発揮するから...。 歴史を振り返った場合にも、普通の日常生活の中でも、やはり人間は〝マスク〟の助けを借りて精神世界とリンクしている。「 私はマスクを、今日の社会的儀式やロールプレイングの枠組みの中における『ロックとゴス』の世界に見られる現代的な大衆文化の典型例として位置付けています」と彼女は語る。
思春期~青年期と、ロックやゴシック様式の音楽シーンに影響を受け続けてきたHannaleena Heiska。しかし彼女は、これら両方の音楽シーンと密接な「北部(故郷であるフィンランド)特有の考え方」のようなものを描写しているに過ぎない。それらは、ともに重く暗い美しさだけでなく「神秘主義への扉を開くパスである」と考えられてきた。少なくとも、今は非常にはアンダーグラウンドであるが、今後ゴシックやロマンチックな分野でその起源は主流となり、刺青が象徴している「死のシンボル」は、さらに広く受け入れられ、より一般的なものとなっていくのであろうか...。
[Hannaleena Heiska]
1973年、フィンランド・オウル生まれ 。
現在はヘルシンキを拠点に活躍中。
text by wk