「我々全員が生きている状況の反対側で、その場所を具体化する試み」
「私が永久に持ち続けるであろう物質の最も新しい体験、および、その内側で私が生きている物質世界の唯一の部分」
と アンソニー•ゴームリーが語る様に
人体とは記憶と変化の「場所」であるとするかんがえ方により大規模なインスタレーションや大規模な彫刻が多い彼の作風らしく人間の環境や場所と言った人体を取り囲む「空間」に関心を寄せ長年にわたり人間の体を題材に数多くの作品を手がける。
その彼の作品は単に人体をモチーフにしたものではなく自身の肉体の型を取り、自分のぬけがらのような作品等を数えきれぬぐらい制作してきた、それは「型」を再度、+型からー型に戻したものではなく、自分の肉体や魂を覆った「ぬけがら」そのものである「うつわ」のような存在を誇示し、身体の内部とそれを取り巻く空間との関係を示している。
その作品は the waste manに表される様な燃えてなくなってしまうその場所、その時間だけである「空間」を表したインスタレーションから古代からそこに立ちつくし恒久な「空間」とともに歩んで行く様なangels of the northの様な作品までとかなりインパクトの有る作品が目立つ。
彼が言う全人類共通の条件を識別するために、個々の肉体の「場所」を取り囲むこというかんがえ方には21世紀の人類の歩んで行く道にも通じるかんがえ方に共感できるものが見受けられる。
アントニー・マーク・デヴィッド・ゴームリー Antony Mark David Gormley
1950年イギリス生まれ イギリスの彫刻家。考古学、人類学、美術史を学び、スリランカに渡り仏教を3年間学ぶ。
その後、ロンドンに戻ると彫刻家として活動。1994年にターナー賞、1997年に大英帝国勲章を贈られており 現在、大英博物館、バルティック現代美術センターの理事でもある。
text by keso