新聞やニュースの見出し、Wikipediaのエントリーやペーパーバックのカバー、または一般的な「決り文句」や、ほんの些細な出来事、歌の歌詞や個人的な逸話などなど...。彼は、これら膨大なソースから、その時々の気分や感覚により特定のフレーズを抽出、自身の表現の源としている。
「テキスタイル・アート」
こんな呼び方が相応しいのかどうかも解らないが、言葉を巧みに使用した彼のアートには、その図面の強烈さや大胆でポップな色彩と共に、一定の形式から解放されたことによる不安定さも手伝って、ある言葉や特定の表現が本来持っている以上の意味や役割を、新たに付与している様にも見受けられる。
大胆な配置や構図による意図的な欠陥と再現、または重要な見出しの本質をキャプチャする簡潔なフレーズによる〝抽象的なジャーナリズム〟として表現された言葉の数々。念仏の様にループする言葉達。それは観る者に錯覚を起こさせ、強迫観念を植え付ける。そこにはまるで、情報でできた海や森、空が広がっているかの様に...。
text by wk