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    2010.03.20
  • posted by kenshin.

因襲を超えた芸術 ADOLF WOLFLI










Adolf Wolfli


驚異的な魅惑のパワーはそれはどこから生まれてくるのだろう
メインストリームの対極の裏側から照らし返す特異な魅力


スイス、エメンタール州のボーヴィルの貧しい家の7人兄弟の末っ子として生まれ、大酒飲みの父はWolfliが7歳の時に家族を捨て、その2年後は母も他界
恵まれない幼少時代を過ごし、青年期には移動農場で過酷な労働を強いられ、直面している現実に挫折を繰り返し、愛した女性の父からは交際を禁じられ 深く心を切り裂かれ、幼女への度重なる性的悪戯未遂事件を起こし精神病院に収容される。

収容先ベルンのヴァルダウ精神病院でWolfliは自伝を書き始め、その物語は2万5千ページにもおよび作品制作にのめり込んで行く、それは旅行記となり架空の地図や宮殿、王、圧倒的な世界『聖Adolf王国』の誕生でした。

新聞紙の余白にドローイングを描き始め朝から晩まで描き作曲に没頭し狂っていき、作品には『Adolf Wolfli 作曲家』と自らを作曲家と名乗り、彼の頭の中では音楽が鳴り止む事なく、5線譜ならぬ6線譜が織り交ぜた音楽的なものや文字とイメージを書き込んだ対称性の強い緻密な構図、それは印象に残り脳裏に焼き付く。

ヴァルダウ精神病院に赴任してきた、ヴァルター・モンゲンタラー医師がWolfliと密接に関わって行き、Wolfliに色鉛筆を与えたのも医師だといわれている  それによって作風が驚異的に開花していク事となる
その鮮やかな色で熱狂的な彼の作風を彩っている
それはWolfliが現実に体験してきた悲痛な世への道理に対する、断固たる異議申し立てのようにも見える。
創造力に満ち溢れた才能は、洗練されてゆく世に蔓延する閉塞感を持って圧倒的なパワーで彼の王国が広りを放ち、それらの"作品"は巨大な生命の叫びに引込まれてしまう。
 アール・ブリュットフ(生の芸術)精神病者、知的障害者、独学者、多種多彩な汚されていない芸術。
異端児とも言うか創り手の内側から放たれる計り知れない程の生きるエネルギー
何の縛りもなく自由に表現したドローイング独創性溢れる彩使い、人物の表情はほとんど無表情ともいえる
無の裏側に隠された "アンチ社会への抵抗" 今もなおこの21世紀現代の社会に訴えかけているのではないだろうか?


Reference
Magazine Bijutsu Techo   

TEXT   Ru

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