-
マエストロ・信竜淳二
一応、ヘアサロンが発信しているブログマガジンなので最初はヘアのネタを少し。
このThe salon style journalを発信しているTHE SALONがデイリーに色々な気になる事を綴ったブログ THE SALON DIARYにもWK氏がポストしている様に今、美容室の質の崩壊の序曲が始まろうとしている。
先日、楽天が楽天サロンというサービスを行い始めた。これはユーザーにおいては一見便利なサービスとも見える。
しかし、ファッションやビューティーという、極めて「個」の主張が強い分野においてさえ、自分のフィジカルな「個の表現」をインターネットに寄生せざるを得ないということは、ある意味では末期症状とも言えよう。
そこには美容室業界自体がこの流れを予測できず、自ら牽引できずに美容室という中小企業は大企業にそのサービスの上澄み吸い取られるという側面も見て取れ、企業による美容室産業コロニアム化しているのでは?という疑問さえ浮かぶ。
しかしそれは結局、美容室の経営者のフィロソフィーやユーザのファッション観やビューティー観によるものであろうが、このように業界を引っ張るトップサロンと語るお店がファミレス化してきた美容サービスの行き着くとこは結局は、クオリティーの下降という道筋しか見えない。
なぜならば美容室は基本的に技術と感性というロジックとフィーリングの相反するものが微妙なバランスで成り立つことで基本の支えとなっている「手仕事の産業」であり、画一化する事はフラット化する事で「個」という不揃いなものに対応ができづらいからだ。そうなだけにどう考えてもファミレス化する産業にクオリティーは下降の一路をたどっていくのが目に見えて予想される。
技術という側面を見て取ってもいまのこの美容室産業には確実に失われつつある技術が有る。
そこで今回はその先人の素晴らしい技術を持った人を紹介したい。
今は鬼籍に入られたが自らが解説した技術本(1977年発刊)などが2000年代に入り海外に流れ、現在のファッション業界の一線で活躍するヘアアーティスト達に影響を与えた素晴らしいアップ師 信竜淳二氏である。
今では一般の方はもちろんの事、美容師のほとんどは名前も知らないと思うのでざっくりとした経歴を一つ
信竜淳二 1934年生まれ 1960年代に東京赤坂にびりゅう美容室を構えロングの結い上げ技術を特技に頭角を現す 極めて硬骨、時流に馴れる事をいさぎよしとせず、ステイタスなものを嫌い、趣味もゴルフをえらばず垂釣に打ち込む。
当時はアップや編み込み技術の達人として彼の右に出るものは無く、彼の技術解説本は35年経った今も瑞々しく感性の豊かさ、技術の深みが見て取れ、それこそ、この時代にこんな前のめりな事をやっていたのか?!とショックを受けるほど。
それは現在、YOJI YAMAMOTOやISSEI MIYAKE等のショーを手がけるユージン•ソレイマンを始めとするトップヘア•アーティストに大きく影響を与え、その技術は世界のヘア界の幅を広げた、しかし、今の日本の美容室業界ではその事すら全く知らずにいる。
信竜の素晴らしさはそのエレガントな感性を表現する技術力の高さとのバランスの力にある。
技術解析本に見て取れる様に、自ら体で覚え込んでフィジカルで体験したものをロジック化していく粘りつよさや、業界向けに発刊された本だけにB層に向けたコマーシャル化ではなく限界点までチャレンジし、妥協を許さなかったクオリティーと当時の志の高かった美容雑誌編集者の親密な関係が見て取れる。
ここで彼の技術を解説云々はおこがましいので辞退するが、この技術は今の日本の美容業界の中では確実に消滅の一歩をたどっている、しかし海外でその魂と技術が生き残れるならそれはそれでいいのではないかと感じる。
LOVE 信竜!!!
- 2012.7.08
INFLUENCE
- 2014.2.12
- Gary Slutkin 〜暴力を伝染病と考える〜
- 2013.12.18
- James Chance
- 2013.11.14
- MARY BOONE 〜女性の肖像〜
- 2013.7.26
- Glenn O'brien
- 2013.6.24
- Buckminster Fuller
- 2013.5.20
- TINA CHOW
- 2013.5.06
- MR CHOW
- 2013.3.31
- Mikhail Nikolaevich Baryshnikov
- 2013.2.27
- 日本様式美インフルエンスここに極まるファッションストーリー
- 2013.1.23
- 石岡瑛子が第85回アカデミー賞にノミネートされる