THE SALON STYLE JOURNAL

INFLUENCE

MARY BOONE 〜女性の肖像〜

「難解なミニマルアートや読み解くのに大変すぎるコンセプチュアルアートにはもううんざり」と言わんばかりにそれまで勤めていたNYのバイカートギャラリーの秘書を辞め一念発起して自分の名を冠したメアリー•ブーン ギャラリーをSOHOで構える。それは1977年のこと

もちろん一介のギャラリーの秘書だった彼女には何もプランが無くギャラリーをオープンした訳でもなく、確信と企みがあっての事だったのは1978年に新しいアーティストを引っさげオープニングレセプションを行われたのを皮切りにその企みは次々と時代のうねりになって行くことになる。

1970年代の終わりアメリカ景気は下降気味、アート界に目を移せば難解なコンセプチュアル アートが終焉を迎え、人々は新しいものを求めていた時代、ちょうど当時、ドイツで新表現主義が生まれ、NYでも同時にその新表現主義の画家が生まれ始めた時、メアリー•ブーンはそのアーティスト達に目を付けて自分のギャラリーで扱い始める。
その新表現主義、ニューエクスプレッショニズムはニューペインティングともよばれ技法的には抽象表現主義に影響を受けた乱暴な筆触、原色の使用、対比配色など、LAWな感覚むき出しな絵画は瞬く間に美術界を席巻し始め、メアリー•ブーンの時代を敏感に感じ取る力と行動力は1980年に入るとまだ駆け出しだったJean-Michel Basquiat に目をつけ始め売り出して行く、80年代の芸術が投機対象となって行く時代のうねりと相まってギャラリストとしての地位を築いて行くのですが、90年代に入り投機対象となったアートマーケットが一気に飽和状態となり絵画価値が下落し始め、いわゆるアートバブルがはじけるとギャラリー経営にも支障が来たし、育て上げたアーティストの大半に去られるも、自らの私的コレクションを売る事でしのぎ、SOHOのギャラリーを当時新しいギャラリストの場所であったチェルシーに移し心機一転を果たす、ちなみに既にこの頃、コムデギャルソンもこの閑散とした場所に目を付けショップをオープンしていて今では老舗トップギャラリーの聖地な場所ですね。

チェルシーにギャリーを移してからもメアリー•ブーンは持ち前の時代を読む力は失われずこつこつと新しいアーティスト達を発見し続け、まさに今ではNYを代表するギャラリストとして君臨している
今の現代アートを裏で支え続けてきた彼女は注目されるべき存在だと思います

ちなみに現在、2013年の11月時点ではKAWSの新作をフューチャーしてやっています。


  • 2013.11.14